飯豊連峰縦走
 2007/10/06-08
1日目:奥胎内ヒュッテP-足の松登山口-えぶり差岳-北股岳-梅花皮小屋
2日目:梅花皮小屋-大日岳-飯豊山-三国小屋(三国岳)
3日目:三国小屋-疣岩山-巻岩山-上ノ越-弥平四郎登山口

3日目 10/07
三国小屋        5:30
疣岩山分岐       6:10
上ノ越         7:00
弥平四郎登山口P    8:05
駐車場で登山者に乗せてもらい最寄の駅まで

電車:徳沢駅−中条駅 → タクシー:奥胎内ヒュッテP(14時車回収:料金7,750円)
目覚めると、小屋の中は静まりかえり、外からの音も聞こえなかった。暗闇の中、期待して1階の入り口の扉を開けてみると、強くも弱くもない、それなりに降る雨。 早発ちが身上の私だが、こんな日にヘッドランプで歩き出すわけもなく、またシュラフに戻って時間をやり過ごす。


出発

のそのそと時間をかけて朝食を食べ、レインウェアをしっかり着込み、外が明るくなってから小屋を出た。
出発

わざとそうしたつもりではないが、女性三人組の出発とほとんど同時になった。なんかバツが悪いなあ。 これじゃ、駐車場から乗せてもらいます!と言っているみたいだ。

1,2度抜きつ抜かれつしてからは、気持ち早めに下って行く。雨に打たれながらでも晴れやかな気持ちだった。 下山口はもうすぐだし、昨日までの山行の余韻が続いていたので、天気と正反対の気分だった。

小屋を出て30分ほどの尾根 疣岩山分岐(いぼいわ) 上ノ越へ いい尾根が続きます
小屋を出て30分ほどの尾根
まだ低木帯です
疣岩山分岐(いぼいわ) 上ノ越へ いい尾根が続きます

雨の森を下る。枝葉を打つ雨音が私の歩く気配を消し去って、いつ熊と遭遇するかと恐がりながら歩く。 ザックの前に付けていた熊鈴を持ち上げて、派手にジャラジャラ鳴らしながら急いだ。

上ノ越分岐 上ノ越分岐から下は森の中になる 弥平四郎登山口P
上ノ越分岐 上ノ越分岐から下は森の中になる 弥平四郎登山口P

急に森が途切れたと思ったら駐車場に到着。森を抜けた駐車場では上の稜線より雨脚が強くなっていた。

さて、どうしたものか、ここで待っているのもなんだか恥ずかしい。 とりあえず何か口にするかと、ザックを下ろしてもぞもぞしていたら、もう三人組が到着した。 「お願いします」素直にご厄介になった。

車の主は千葉の柏の方で、同じ関東圏の山の話などで、車中の手持ち無沙汰もな無かった。 陽気なお三方、ありがとうございました。

磐越西線 徳沢駅
JR磐越西線 徳沢駅

さて、無人駅の待合室で時刻表を見ると、次の列車まで約20分ある。 こりゃ、ちょうどいい時間だなあと、駅前でビールを物色するが、ぜんぜんお店の気配無し。


駅前 ひたすらひなびてます

外れの方まで歩いてみると、ぱっと見は民家にしか見えない酒屋をやっとこさ見つけた。

「ごめんくださーい」と震える手で戸を開け、一升瓶が棚に並ぶ店内を、冷えたビールを探してきょろきょろしていると、 「はーいー」と、奥の戸が開いておばあさんが出てきた。
*****

小汚い格好をしている私をいぶかるように「どこがら来たの?」と聞かれたので、東京から山に登りに来て、今下山してきたことを伝えた。

すると、「山歩いできたの?それは覚悟がいるごどでしょう・・」と、驚きと感心とが混ざったような言葉がおばあさんの口から漏れた。 私はそれを聞いてはっとした。このおばあさんの山へ対しての想いは、敬い畏れているものが大きいのだろう。 そして、麓にずっと暮らしていても、あの秋色に輝く稜線を実際に目にすることは無いんだろう。 東京からひょいっと来て、ただ山を駆け抜けて行くような自分が何か後ろめたく、 「今はテントとかも軽いし、上は小屋もたくさんありますから」なんて言い訳がましく答えた。

冷蔵庫の冷えたビールに手を伸ばすと、今度は「そごには、ビールど、発泡酒っでのが入ってんだけども、発泡酒っでのはビールでねえんだ。 ちんと安ぐで、味はだいたいビールとおんなじで、おらはしんねげど、人によっては発泡酒でいいって人もいるし・・・」と、 まあ、ビールと発泡酒の違いを感覚的に教えてくれた。私も福島の太平洋側の出身。会津と海側では話し言葉はけっこう違うが、 おばあさんのゆっくりと話す言葉は懐かしい響きだった。途中途中、何度か繰り返す説明を最後まで聞いて、安くない方のビールを買った。

待合室で簡単に身づくろいをして、山行を終えた後の、ほっとしながら飲むビールは最高だった。 でも、待合室に入ってきた子供が、私を見て逃げていってしまったのが申し訳なかった。恐そうに見えたのかな、ごめんね。

JR羽越本線にて
JR羽越本線にて

窓の外は稲刈りが終わった田んぼが続く。7月に朝日連峰を下りて来た時、ちょうどこの線路を逆に乗って眺めていた風景は、青々とした水田だったのに。

飯豊連峰は健脚者が多く、CTも会う人皆が「甘い」と言っていた。確かに登りも稜線歩きもそう思う。 多くの山を歩き、「ついに飯豊だぞ!」とやって来る、山慣れた人が多いからだろう。 全山が、ま白くなる頃にも歩きたいが、私には稜線に夏の花が咲く頃が先かな。

適当に乗った列車は接続が悪く、中条駅まで時間的に長旅になった。 車窓には雨降りの冴えない景色が続くが、あれこれと山のことを考えながら列車に揺られる時間も、それほど悪くはなかった。


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